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AWS SAA-C03 試験直前対策|迷いやすいサービスの違いを総復習

AWS認定SAA-C03の試験直前に確認したいIAM、VPC、RDS、S3、可用性、監視、コストの判断基準を比較表と確認問題で総復習する。

ノートと鉛筆のイラスト

AWS Certified Solutions Architect – Associate(SAA)の直前対策では、サービス名を新しく暗記するよりも、似た選択肢を要件で切り分けられるかが重要になる。

この記事は、試験前日にもう一度見直すための要点集。特に混同しやすいIAMポリシー、VPCエンドポイント、Multi-AZとリードレプリカ、S3ストレージクラス、監視サービスを重点的に整理した。個々の機能のすべてを網羅する試験ガイドではなく、最後の確認に使うためのまとめだ。

対象は2026年10月25日時点でAWS公式サイトが案内しているSAA-C03。サービスの仕様・試験の詳細は更新されるため、受験前には末尾の公式リンクも確認してほしい。

まず試験の形式と配点を確認する

分野 採点対象の配点 直前に意識すること
セキュアなアーキテクチャの設計 30% IAM、暗号化、ネットワークの防御
レジリエントなアーキテクチャの設計 26% 冗長化、フェイルオーバー、バックアップ
高パフォーマンスなアーキテクチャの設計 24% 性能要件、キャッシュ、負荷分散、データベース
コストを最適化したアーキテクチャの設計 20% 料金モデル、マネージドサービス、ストレージ階層

AWS公式の案内では、試験時間は130分、全65問。内訳は採点対象50問と採点対象外15問で、どれが採点対象外かは分からない。合格基準はスケールドスコア720/1,000であり、「正答率72%で必ず合格」という意味ではない。

未回答は不正解扱いだが、推測解答そのものに減点はない。迷った問題も必ず選択しておくこと。

選択肢を絞る5つの質問

問題文を読んだら、まず次の条件を探す。

  1. 何を最優先するか? 高可用性、低レイテンシー、最小コスト、最小運用負荷、セキュリティなど。
  2. どの障害まで耐えるか? EC2の故障、AZ障害、リージョン障害は対策が異なる。
  3. どんなアクセス方法か? HTTP、TCP/UDP、NFS、SMB、SFTP、APIなど。
  4. データの性質は? 読み取りが多い、書き込みが多い、順序が重要、リアルタイム性が必要など。
  5. 既存の制約は? オンプレミス連携、プライベート接続、運用人員、予算、復旧時間など。

「技術的には実現できる」選択肢が複数あっても、問題が問うのは要件に最も合う設計。要件にない大がかりな仕組みを足した選択肢が正解とは限らない。

1. IAM・セキュリティ:最優先で復習

IAMポリシーとSCPの違い

仕組み 何を決める? よくある勘違い
IAMアイデンティティベースポリシー ユーザー・ロールなどに許可/拒否する操作 Allowがあれば他の制限を無視できる、は誤り
リソースベースポリシー S3バケットなどのリソースへ誰がアクセスできるか すべてのサービスが同じ形式で対応するわけではない
IAMロールの信頼ポリシー 誰がそのロールをsts:AssumeRoleできるか ロールを引き受ける許可と、引き受けた後の操作権限は別
Permissions boundary(アクセス許可の境界) IAMユーザー・ロールに付与可能な権限の上限 境界だけで権限を付与できる、は誤り
SCP(Organizations) 組織内の対象アカウントで使用できる権限の上限 SCPのAllowだけでIAM権限が付く、は誤り

覚える順番は原則拒否 → 必要な明示的許可 → 適用される制限を確認 → 明示的Denyがあれば拒否。

例えばIAMポリシーでS3の読み取りを許可していても、SCPに該当操作の明示的Denyがあれば実行できない。権限の最終判定は、ポリシーの種類やリクエスト元・対象アカウントによって変わるため、単純に「Allowが一つあればOK」ではない。

Action と Resource を見分ける

次の例は、オブジェクトの取得だけを許可するアイデンティティベースポリシーだ。

{
  "Version": "2012-10-17",
  "Statement": [
    {
      "Effect": "Allow",
      "Action": "s3:GetObject",
      "Resource": "arn:aws:s3:::example-bucket/*"
    }
  ]
}
  • Effect:許可(Allow)か拒否(Deny)か。
  • Action:どのAPI操作を対象にするか。
  • Resource:どのリソースに対する操作か。
  • Condition:IPアドレスやタグなど、追加の判定条件。
  • Principal:主にリソースベースポリシーやロールの信頼ポリシーで、対象の主体を表す。

s3:GetObject と s3:ListBucket は別の権限。前者のリソースはオブジェクトARN(末尾/*)、後者はバケットARN(末尾/*なし)を使う。このJSONだけでバケット内の一覧取得は許可されない。

認証・暗号化・防御で選ぶサービス

要件 第一候補・覚え方
EC2からAWSサービスに安全にアクセス IAMロールを割り当て、一時的な認証情報を使用
別AWSアカウントのロールを使う ロールの信頼関係、sts:AssumeRole、必要な権限を確認
外部IDプロバイダーとのSSO IAM Identity Center、SAML/OIDCなどを要件に応じて選択
暗号化キーを管理・利用制御 AWS KMS(キーポリシーと必要なIAM許可に注意)
パスワード・APIキーを安全に保管しローテーション AWS Secrets Manager
WebアプリへのSQLインジェクション等を防ぐ AWS WAF(HTTP/HTTPSのL7ルール)
DDoS攻撃に備える AWS Shield
複数アカウントで防御ルールを一元管理 AWS Firewall Manager
VPCネットワークの通信を検査・制御 AWS Network Firewall
不審なAPI操作や脅威の検出 Amazon GuardDuty
意図しない外部・クロスアカウントアクセスを分析 IAM Access Analyzer

WAF・Shield・Firewall Managerは役割が違う。「通信を遮断」「DDoS」「組織全体へルール展開」のどれを問われているかを見る。

2. VPC・ネットワーク:通信経路で見分ける

Security GroupとNetwork ACL

比較 Security Group Network ACL
適用単位 ENI(EC2等のネットワークインターフェイス) サブネット
ステートフル/レス ステートフル ステートレス
ルール 許可ルール 許可・拒否ルール
戻り通信 許可された通信への応答は自動的に許可 戻り方向のルールも検討が必要

NACLではエフェメラルポートなど応答側のポート範囲も考慮する。Security GroupでDenyルールを作ることはできない。

IGW・NAT・VPCエンドポイント

要件 選択
パブリックサブネットのリソースがインターネットと直接通信 Internet Gateway(適切なルートとパブリックIP等が必要)
プライベートサブネットから外部のIPv4インターネットへ発信 NAT Gateway等(インターネット側からの新規着信は受け付けない)
VPCからS3/DynamoDBへインターネット経由やNATなしでアクセスし、コストも抑える Gateway VPC Endpoint(追加のエンドポイント利用料金なし)
VPCから対応するAWSサービス等へプライベートIPでアクセス Interface VPC Endpoint(AWS PrivateLink)

重要なのは、S3とDynamoDBはゲートウェイ型とインターフェイス型の両方に対応していること。単純に「S3だから必ずゲートウェイ型」とはせず、オンプレミスからの経路やネットワーク構成も確認する。

Gateway型はルートテーブルに関連付ける。Interface型はENIとプライベートIPを利用し、通常は時間・データ処理に応じた料金がかかる。

VPC間接続とDNS

  • VPC Peering:2つのVPCを直接接続。推移的なルーティングはできない。
  • Transit Gateway:多数のVPC・オンプレミス接続をハブ型に集約。
  • Site-to-Site VPN:インターネット経由の暗号化された接続。
  • Direct Connect:専用線経由の接続。接続そのものが自動的に暗号化されるわけではない。
  • Route 53 Resolverインバウンドエンドポイント:オンプレミス等からVPC側のDNS名を解決したい。
  • Route 53 Resolverアウトバウンドエンドポイント:VPCからオンプレミス等のDNSサーバーへ問い合わせたい。

Route 53のルーティングポリシーも押さえる。フェイルオーバーは正常性に応じた切り替え、レイテンシーは遅延を基準とした誘導、加重は割合での振り分け、位置情報は利用者の場所による振り分けに使う。

ALB・NLB・CloudFront・Global Accelerator

サービス 得意なこと
ALB HTTP/HTTPS、ホスト名・パスなどで振り分けるL7ロードバランサー
NLB TCP/UDP/TLSのL4ロードバランサー、静的IPなどの要件
CloudFront 世界各地のエッジでHTTPコンテンツをキャッシュ・配信するCDN
Global Accelerator グローバルな静的Anycast IPとAWSネットワークを使ったトラフィック誘導

「URLのパス別に転送」はALB、「UDPを負荷分散」はNLB、「静的コンテンツの配信高速化」はCloudFrontが基本的な判断材料になる。

3. 可用性・災害対策:何が壊れる想定か

  • Multi-AZ:同一リージョン内のAZ障害に備える設計。アプリケーション層では複数AZのEC2をALB+Auto Scalingで運用する構成が代表例。
  • Multi-Region:リージョン規模の障害にも備えたい場合に検討する。ただしデータ複製・DNS切り替え・運用は複雑になる。
  • Auto Scaling:需要変動に応じてEC2台数を増減し、ヘルスチェックに応じて異常なインスタンスを置き換える。
  • バックアップ:データ削除・破損・誤操作への備え。冗長化とは別に必要になる。
  • RTO:どれだけ早く復旧すべきか。RPO:どれだけ過去のデータ損失まで許せるか。

RDS Multi-AZとリードレプリカは別物

構成 主な目的 読み取り負荷分散
RDS Multi-AZ DBインスタンス配置(スタンバイ1台) 障害時のフェイルオーバー・可用性 スタンバイからは読めない
RDS リードレプリカ 読み取りスケールアウト できる。通常は非同期レプリケーション
RDS Multi-AZ DBクラスター配置(スタンバイ2台) 可用性+読み取り処理 リーダー側でも読み取り可能
Auroraのリーダー 読み取りの分散 リーダーエンドポイント等を使用

よくある「Multi-AZは読み取りスケールアウトできない」という説明は、主に従来のRDS Multi-AZ DBインスタンス配置を指す。現在は読み取りに対応するMulti-AZ DBクラスター配置もあるため、問題文の構成を読み分ける。

災害対策の設問では、バックアップ&リストア、パイロットライト、ウォームスタンバイ、マルチサイト(アクティブ/アクティブ)の順に、一般に復旧時間を短くできる一方でコスト・運用負荷が増えやすいと考える。ただし実際のRTO/RPOは設計次第だ。

4. ストレージ:プロトコルで一気に絞る

サービス 種類・プロトコル 代表的な用途
Amazon S3 オブジェクトストレージ(API/HTTP) 画像、ログ、バックアップ、静的コンテンツ
Amazon EBS EC2に接続するブロックストレージ OSディスク、データベース用ボリューム
Amazon EFS 共有ファイルストレージ(NFS) 複数Linuxインスタンスから共有
FSx for Windows File Server Windows向け共有ファイル(SMB) Active Directory連携のファイルサーバー
FSx for Lustre 高性能並列ファイルシステム HPC、機械学習、大規模な高速処理
FSx for NetApp ONTAP NFS/SMBなど 既存のエンタープライズファイル環境
AWS Transfer Family SFTP/FTPS/FTPなど 既存のファイル転送クライアントを活用
AWS DataSync データ転送・同期 オンプレミスとAWS間などの大量ファイル移行
AWS Storage Gateway ハイブリッドストレージ オンプレミスからAWSのストレージを利用

NFSならEFSが基本、WindowsのSMBならFSx for Windows、SFTP転送ならTransfer Familyとまず連想する。ただしFSx for ONTAPなど、複数プロトコルに対応するサービスもある。

S3ストレージクラスを用途別に暗記する

アクセス要件 候補
頻繁にアクセスする S3 Standard
頻度が読めない・変動する S3 Intelligent-Tiering(オブジェクト監視料金等に注意)
アクセスは少ないがすぐ取得したい S3 Standard-IA
再生成可能で単一AZのリスクを許容 S3 One Zone-IA
アーカイブでもミリ秒で取得したい S3 Glacier Instant Retrieval
数分〜数時間の復元でよい S3 Glacier Flexible Retrieval
長期保管で復元に時間がかかってよい S3 Glacier Deep Archive

「アーカイブ」と書いてあっても即時の取得が必要ならDeep Archiveではない。最低保存期間や取り出し料金も考慮する。

S3のバージョニングは誤削除・上書きからの復元に役立ち、レプリケーションは指定したバケット間にオブジェクトを複製する。リージョン間レプリケーションを設定しただけで、アプリケーションの自動フェイルオーバーまで完了するわけではない。

5. データベース・非同期処理:ワークロードに合わせる

データベースとキャッシュ

要件 候補
SQL、リレーショナルデータ、トランザクション RDS / Aurora
クラウドネイティブなリレーショナルDB、高可用性・読み取り性能 Aurora
キー・バリューやドキュメント、低レイテンシーで大規模に拡張 DynamoDB
頻繁な読み取りの高速化、キャッシュ ElastiCache
世界中の複数リージョンでDynamoDBのデータを利用 DynamoDB Global Tables

データベースの読み取りが重いとき、結果をキャッシュするのか、DBの読み取り先を増やすのかを区別する。ElastiCacheは通常、永続データを置くRDSの単純な置き換えではない。

SQS・SNS・EventBridge・Kinesis

サービス 一言でいうと 典型的な使い方
SQS メッセージをキューにためて非同期処理 処理の分離、ピーク吸収、再試行
SNS Pub/Subで複数の購読先へ通知 一つのイベントを複数システムへ配信
EventBridge イベントをルールで振り分ける AWSサービス・SaaS等のイベント連携
Kinesis Data Streams ストリーミングデータの取り込み・処理 ログ・クリックなどの連続データ処理

SQSはバッファ、SNSはファンアウト、EventBridgeはイベントの条件分岐と覚える。処理失敗のメッセージを隔離するDLQや、SQSの可視性タイムアウトも確認したい。順序・重複排除の要件ではSQS FIFOなどを検討する。

6. 運用・監査・コスト:最後に見落としを防ぐ

ログ・監視・変更履歴

問い サービス
CPU使用率、アプリログ、アラーム CloudWatch
誰が・いつ・どのAWS API操作を行ったか CloudTrail
リソース設定の変更履歴や準拠状況 AWS Config
分散アプリケーションのリクエスト経路を追跡 AWS X-Ray
予算超過・予測超過の通知 AWS Budgets
過去の費用を分析し傾向を見る Cost Explorer

CloudTrail=操作の監査、Config=設定変更、CloudWatch=メトリクス・ログ・アラーム。CloudTrailログをS3へ保管し、必要に応じてAthenaなどで分析する構成も判断材料になる。

コストの選び分け

  • オンデマンド:短期・予測しづらい用途。コミットメントなし。
  • Savings Plans / リザーブドインスタンス:継続的に稼働する対象コンピューティング資源の割引を狙う。適用範囲・柔軟性は契約によって違う。
  • スポットインスタンス:中断に耐えられるバッチ、分散ジョブ等に適する。停止できない単一構成の本番DBなどには不向き。
  • Auto Scaling:不要な時間帯の余剰キャパシティを抑えられるが、設計しなければ必ず安くなるわけではない。
  • S3 Lifecycle:アクセス頻度や保存期間に応じてクラス移行・期限切れ削除を自動化する。
  • サーバーレス:利用量が少ない・変動が大きい場合、運用負荷や費用を減らしやすい。一方、高負荷が常時続く場合は比較が必要。
  • 転送コスト:AZ間・リージョン間転送、NAT Gatewayの処理料金、外向きのデータ転送なども確認する。

「最もコスト効率が高く、運用負荷を最小化」という問題では、既存EC2を増設する前にマネージドサービス、サーバーレス、既存のエンドポイント利用を検討する。ただしコストだけで性能・可用性の必須条件を捨てない。

7. 直前のセルフチェック(7問)

答えを見ずに、サービス名となぜそれを選ぶのかを一言で答えてみる。

  1. プライベートサブネットのEC2からS3へアクセスする。NAT Gatewayの通信料金を抑え、インターネット経由も避けたい。何を使う?
  2. IAMで操作をAllowしているのに、所属OUのSCPが同じ操作を明示的にDenyしている。操作できる?
  3. RDSの読み取り負荷が増加した。従来のMulti-AZ DBインスタンス配置のスタンバイにSELECTを振り分ければよい?
  4. AZ障害時にもWebサービスを継続し、負荷に応じてEC2台数を調整したい。基本構成は?
  5. WindowsアプリからSMBで共有ファイルにアクセスし、Active Directoryとの互換性も重視する。第一候補は?
  6. 「誰がセキュリティグループを変更したか」と「現在のセキュリティグループ設定がルールに準拠しているか」。それぞれ何で調べる?
  7. 注文APIの処理ピークを吸収し、後続処理が一時停止しても注文メッセージをキューに保持したい。何を選ぶ?

解答と判断理由

  1. Gateway VPC Endpoint。S3へのプライベート経路を追加料金なしで用意できる。
  2. 操作できない。適用される明示的Denyが優先する。
  3. いいえ。従来のMulti-AZ DBインスタンス配置のスタンバイは読み取りに使えない。リードレプリカや読み取り対応のDBクラスターを検討する。
  4. 複数AZに配置するAuto Scaling Group+ALB。アプリの冗長性と負荷分散を両立する。
  5. FSx for Windows File Server。SMBとWindows互換性の要件に合う。
  6. CloudTrail / AWS Config。前者はAPI操作、後者は設定・準拠状況を追う。
  7. SQS。疎結合・バッファリング・後続処理の再試行に向いている。

試験当日の進め方

全65問を130分で解く場合、単純平均は1問約2分。問題の難易度で調整しつつ、次の流れで進めると見直し時間を残しやすい。

  1. 最初に設問の最後を読み、何を選べと言われているかを確認する。
  2. 「最小コスト」「高可用性」「運用負荷を最小化」などの優先条件を拾う。
  3. 選択肢ごとに、満たさない要件を探して消去法で絞る。
  4. 長考しそうな問題は一度選択・フラグを付け、先へ進む。
  5. 最後に未回答がないか確認する。採点対象外の問題は見分けられないため、どれも同じように扱う。

最後の数分で新しいサービス名を詰め込むよりも、**「なぜそのサービスを選ぶのか」「似たサービスではなぜだめか」**を説明できるか確認する方が効果的だ。

参考資料(AWS公式)